楽天ゴールドカードのポイント還元率が減少しました。
4月以降は、楽天市場でのポイント還元率が無料で作れる楽天カードと同じく2%になっています。
このようなポイント還元施策の”鑑賞ガール”改悪”と呼ばれている動きは、楽天市場でのダイヤモンド会員である筆者にとっても大きな痛手ですね。
しかしながら、よくよく思い返せば楽天のポイント割当が渋くなっているのは、何もここ最近の話しではありません。
楽天市場に於けるスーパーポイントプログラムでは、年を追う毎にポイントの還元率が減っていったり、最低利用金額が付されたり、ポイント付与条件が追加されていたりという印象を受けます。
その背景には、特に「楽天モバイルや物流への投資」という大きなビジネス機会に、できるだけ資金を投入したい狙いがあると考えられる。
とりわけ楽天モバイルを廻っては、大手3キャリアがこぞって新料金プランのリリースに踏み切っていて、楽天モバイルの競争優位性が相対的に低下してしまったことも大きな要因でしょう。
ポイントにメスを入れる理由は会計基準?
実際の所、楽天の業績は良いとは言えません。
決算説明の場ではモバイル・物流等の投資選考事業を切り離せば、黒字であると協調していますが、2020年全体の営業利益は前年同期比-1987億円で1027億円の大幅な赤字になっています。
この1987億円のうち、1512億円分がモバイル事業への投資によるものなので、楽天ポイントはポイント還元率をカットすることで、モバイルの投資による傷口を少しでも塞ごうとしているのではないでしょうか?
楽天がポイントにメスを入れる背景には、楽天の会計基準による物もあります。
なぜなら、楽天が採用する国際会計基準(IFRS)では、ポイント還元のカットは売上高を直接押し上げる効果があるからです。
日本基準の会計方式では、今の段階では原則としてポイントは負債として処理されます。
そして、その期中で利用が見込まれているポイント分を「引当金」といった名目で計上するのが通常です。
したがって日本基準では、現金値引きよりポイントで還元した方が売上高を押し上げやすいといえますね。
しかしIFRSでは、ポイントを付与すると売上高を押し下げてしまいます。
IFRSにおけるポイントは「顧客から将来の商品の対価を預かっている」かのように取り扱っていて、ポイント付与分は売り上げ収益(売上高)から直接控除されることとなるということ。
つまり、IFRSを採用する企業がポイントを還元すると、その分だけ売上高を押し下げることになるんですね。
したがって、ポイント還元のカットは、その後の取引金額が変わらなければ企業の売上高・営業利益を押し上げる効果が期待出来ます。
マイナスになったとしてもその傷口は幾分か浅くなる効果はあるということ。
しかし、ポイント還元のカットで浮くコスト以上に顧客流出が発生してしまえば、元も子もありません。
それでは今回の試作で顧客流出は発生するでしょうか?
それでも顧客は流失しない?
このようなポイント還元のカットが今後幾分か重なったとしても、急激な顧客離れは起きないと言われています。
なぜなら顧客のスイッチングコストが大きいからですね。
スイッチングコストというのは、有る商品・サービスから他のブランドに乗り替える時の金銭的・心理的障壁の事を言います。
ひとたびユーザーをサービスに引き込んでしまえば値上げが耐えがたいもので無い限り、ユーザーはそのサービスを利用し続ける声質があるという事ですね。
これはNetflixの値上げ事例からも読みとれます。
まず、Netflixは2月5日に、日本ユーザー向けとして二度目の値上げに踏み切り、ベーシックプラントスタンダードプランをそれぞれ約12%値上げしました。
しかし、過去の値上げ事例を確認すると、Netflixのいずれの値上げも結果として成功し続けていると言えますよね。
2019年1月の米国のユーザー向けの値上げ事例でも、Netflixはこの値上げによって、一時は前年同期比-13万人ものユーザー流出を招きました。
しかし値上げによる単価向上で北米エリアにおける売り上げは前期比10%増の約23億ドルになり、過去3期と比較して最大の伸び率を記録しています。
流出したユーザーの「13万人」という数字を見ると、確かに大きな数字に見えますが、これを解約「率」で表すと、僅か0.21%に過ぎません。
価格を18%値上げしたと考えると、解約率が18%値上げを超えない限りはトータルでプラスに鳴るって事ですよね。
なので、Netflixは未だに成長していると言えます。
またNetflixではユーザー解約の動きはすぐに落ち着き、次の四半期では北米に於けるNetflixユーザーは再び当時の過去最高を更新して、前期比52万人増の6062万人になっていますからね。
で、これを楽天に当てはめて考えてみましょう。
楽天のポイント還元率がカットされるという事は、顧客が取引する金額に対するリターンが減少するため、実質的なサービスの値上げと取ることが出来ます。
ただし、それでもNetflixなどの事例を参考にすれば、楽天の顧客基盤を毀損するほどのものではないと考えられますね。
楽天に於けるポイント還元を廻る改定は、たびたび改悪と受け取られる事もありますが、それでもスーパーセールやお買い物マラソンといった各種施策を組み合わせれば、楽天ゴールド・楽天カードのポイント還元率は依然として業界でもトップクラスと言えます。
ユーザーにとっては、代替先を見つけるのが難しいってことなのかもしれません。
したがって、改悪と言われる改定でもユーザー離れとのバランスでは経営上プラスの効果として現れ、その分をモバイルなどの投資事業に充てていくと思います。
まとめ
楽天のポイント改悪について書いてきましたが、確かに今から新しくクレカを作るっていうのも大変な作業ですし、今使っている楽天ゴールドカード・楽天カードが普通に使えるのであれば、変更しない人が多いと思います。
改悪といっても、別にポイントがもらえない分けじゃ無いですからね。
今後も楽天カードを新規利用する人は増えるのではないでしょうか?
そのためにも、楽天市場の充実等やることはあるでしょうが、そこは頑張って欲しいですね。
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